2025/08/19 神奈川新聞朝刊地域面「紀州漁師の墓 市重文に」江戸時代、イワシ求め進出
三浦市が、十劫寺(じゅっこうじ)同市南下浦町上宮田などが「江戸期マカセ網漁民の墓碑」計7基を市の重要文化財に指定したとのことです。江戸時代、現在の和歌山県から移ってきた漁師たち(紀州漁師)との交流を裏付ける重要な文化財と位置づけられています。墓碑は十劫寺の6基と個人所有の1基。いずれの
墓碑にも出身地である紀州の地名が刻まれている。同寺の墓碑は境内入り口にそびえる大イチョウの下に並び、大切に管理されている。今回の指定で、市重要文化財は27件となった。市文化スポーツ課によると 、江戸時代の近畿地方では綿の栽培が盛んになり 、その肥料の原料となるイワシの需要も増えて激しい競争が繰り広げられた 。寛氷年間(1624~44年)になると関東地方でイワシの大漁が関西に伝わり、イワシを求めて2人の網元を含む紀州漁師が三浦や横須賀の下浦地区に進出。関東で初めて巻き網漁を行ったとされる。「マカセ網」はこの巻き網漁で使う大きい網のことをいう。マカセ網を使った巻き網漁は6隻の漁船に80~90人の漁師が乗り込んだ。下浦地区の多くの漁師も、かつてはイワシ庶を営んだとみられる。( 佐藤浩幸)神奈川新聞
この指定により、単なる埋葬地としての墓ではなく、三浦地域と紀州との漁業交流の象徴的遺構として文化的な価値が認められました。市は今後、保存・修復とともに、学術的調査や地域への周知を進め、観光資源や教育資源としても活用を図っていく方針です。