増える 高齢者の家庭内事故 筋力の衰えを知り 防ぐ 国民生活センター 注意呼びかけ

転倒や誤飲など、高齢者の家庭内事故が増えている。歩行器を使用中に転ぶなど特有の事故もあり、国民生活センター(東京)が注意を呼びかけている。(山本哲正)
センターによると、20年4月〜25年7月の約5年間の65歳以上の高齢者の家庭内事故は923件。
その6割の554件が75歳以上だった。
事故は転倒(33・4%)、誤飲・誤嚥(23・3%)、転落(15・3%)の順。
転倒では「風呂場で体勢を崩し肋骨を骨折」(70代女性)、「歩行器が先に行ってしまい転倒。肩のけがなどで入院」(80代女性)。
転落では「1メートルのはしごに乗り庭仕事中、バランスを崩し転落。急性硬膜下出血」(80代女性)などの例があった。
誤飲では「飲料ボトルに入れた柔軟剤を飲み重症肺炎に」(90代男性)、「洗濯ボール(パック型液体洗剤)を三つ飲み、嘔吐など。本人は覚えていない」(80代女性)など。
長期の治療や介助が必要になる可能性がある骨折や頭蓋内損傷など非常に重い症状が全体の3割を占めた。75歳未満で1件だった「窒息」は75歳以上で12件と増えた。

◇転倒・転落の対策 国立長寿医療研究センター理事長特任補佐の鈴木隆雄さんは「高齢者の転倒は加齢に伴う身体能力の衰えが、生活環境と複合して発生する」と説明する。
転倒に伴う外傷は加齢で重症化し、寝たきりや要介護状態に移行する大きな要因となることもある。病気がないか専門医の診断を受けるとともに、段差解消などの環境整備を徹底することも重要。センターは、自治体の転倒予防教室などでバランス能力や筋力を養い、階段や手すりに滑り止めを設け、室内のコードをまとめて転ばないようにするなどの対策を勧める。
◇誤飲・誤嚥の対策 佐賀大学救急医学講座の阪本雄一郎教授は「洗剤なとは高齢者の手が届かない場所に保管し、食事では、餅などは小さく切り、十分な水分とともに取るよう配慮を」と話す。見守りのある環境での食事が望ましい。
誤飲や誤嚥は無理に吐かせず、何を飲んだか周りの人が救急隊に伝える。窒息した場合はまずせきを促し、呼吸や声が出ない場合はすぐに119番通報する。

2025年11月8日(土)東京新聞朝刊くらし面生活
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