人生相談 精神科医・作家 和田秀樹 息子が「物に当たる」嫁からの相談

悩み・質問

 息子は家庭を持ち子供もいます。結婚当初にお嫁さんから「夫がイライラすると物に当たる」と相談されました。息子に久々に会うと何となく家族に威圧的な感じでした。私の別れた夫はDV気質ではなく、むしろ私の方が怒りを抑えられずに引っぱたくなどしていました。その後、お嫁さんからの相談はないものの気になります。DVなどがないか息子夫婦には聞けません。どうすべきか気に病んでいます。
(50代・女性)

回答
何でも話せる関係つくって

 われわれ精神科医は原則的にカウンセリングで離婚は勧めないのですが、唯一の例外がDVが発覚した場合です。DVはなかなかやめさせるのが困難なので、別れた方がいいと勧めるのです。ただ、今回のケースでは暴力を振るうわけでなく、状況にもよりますが、お嫁さんやお孫さんを怖がらせるとか、乱暴に物に当たるとかでなければDVとは言えない気がします。たしかに私も小さい頃からイライラすると物に当たる癖があり、今もときどきやっています。ただし、人には暴言を吐くことも暴力を振るうことも絶対にないようにしています。結婚当初にお嫁さんから相談されたということですから、それがエスカレートしきたら、あなたに教えてくれるように思います。それがないなら、ひとまずは安心な気がします。

 息子さんに言うのは得策でない気がしますが、前に相談されたのであれば、お嫁さんに「あれはまだ続いている?」と聞いても大丈夫でしょう。収まっていることが確認できれば安全ですし、あなたも安心できるでしょう。物心のついた子供が見ているので、ブレーキがかかるようにしているのかもしれません。自分の過去も気にしなくていい気がします。離婚してイライラしなくなったのなら、夫にも原因があったはずです。ただ、離婚も正解だったように思います。あれこ合、エスカレートする可能性があるので、れ気に病むより、お嫁さんとのコミュニケーションを大切にして、何でも話せる関係をつくるのが理想です。息子さんも人間だからときにイライラすることがあるでしょうが、お嫁さんがつらければ課題を整理し、いったん立ち戻るなら、大事に至る可能性は小さいでしょう。お嫁さんのメンタルヘルスにも役立つはずです。いい嫁姑関係になるといいですね。

◆略歴 1960年、大阪府出身。和田秀樹こころと体のクリニック院長。著書に、ベストセラーとなった「80歳の壁」のほか、「オレサマのトリセツ」など。

2025年10月17日(金)東京新聞朝刊情報面メトロポリタン+プラス

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