人流回復へ試行錯誤 横須賀 市立病院移転の上町地区 ペイペイ活用事業も
旧横須賀市立うわまち病院(同市上町)の移転に伴い、同市上町地区への人の流れが大幅に減少しているのが検討されているものの、地元関係者は「地盤沈下」に危機感を募らせている。市と地元商店街は22日から、対象店舗でキャッシュレス決済アプリを使うと最大25%のポイントを還元するキャンペーンを始めるなど、人流回復と消費促進へ試行錯誤している。(最上 翔)
同病院は京急線横須賀中央駅から徒歩十数分と交通至便な場所に位置。しかし、建物の老朽化や病院への進入路の幅が狭いことなどから、今年3月に市立総合医療センター(同市神田町)へ移転した。
病院の移転で医療関係者や通院患者、見舞客の姿は見られなくなった。市商業振興課が通信会社の位置情報機能を使って移転前後の同地区の人流を分析したところ、1日当たり約1500人、1週間で従来の3割減となる約1万人も落ち込んだ週があったという。
上町商店街連合会の高梨会長(69)は「商店街を歩く人や車の数が減った。売り上げを大きく落とした店舗もある」と声を落とす。
病院移転で「地盤沈下」が懸念される一方、明るい材料もある。旧病院跡地について、市は看護大学の設置を決め、最短で2030年度の開学を目指している。公立大学法人が運営して2学科で定員120人、同病院南館周辺を大学エリアとすることを想定している。
今年8月には同病院駐車場跡地計約3300平方メートルを「うわまち広場」としてオープンさせた。イベントを開催できるスペースのほか、人工芝を敷いて子どもが遊べるエリアを用意。25年度中には遊具の設置も予定されている。
こうした動きに合わせ「衰れるのを黙って見てはいられない」(高梨会長)と始めるのが、同会に加盟する飲食店や商店など約40店舗を対象に、キャッシュレス決済サービス「PayPay(ペイペイ)」を活用した事業だ。付与されるポイント上限は決済1回当たり5000ポイント、期間中で計1万2500ポイントまで。10月21日までの期間限定で、予算に達したところで終了となる。還元額や事業費は市が負担する。市商業振興課によると、商店街のポイント付与事業に対する支援は初という。
同事業は来年1月にも再び行う予定で、プレミアム付き商品券の発行も検討している。高梨会長は「大学開学までが勝負の時。上町には魅力的なお店も多いので、新たな人の流れをつくり消費を活性化させる。うわまち広場もうまく活用していきたい」と意気込む。
2025年9月27日(土)神奈川新聞地域面かながわワイド
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