2025/09/11 東京新聞朝刊付暮らし面「戸建て修繕 計画的に 台所、浴室…30年で1000万円超」
原材料費の高臓で建築衰材価格が上がる中、一戸建て住宅の修繕に悩む人は少なくない。屋根の補修や住宅設備機器の交換などは、いつ実施すればいいのか。資産価値を維持しつつ、長く快適に荘らすための方法を専門家に聞いた。(古根村進然)
●軒並み資材値上がり
「外壁に使う塗料や屋根材など建築資材は、軒並み値上がっている。一戸て住宅では入者自らが何年住むのか考え資産価値を保つために修繕画を立てることが大切だ。不動産コンサルティング会社「さくら事務所」(東京)の執行役員の友田雄俊(かずとし)さんが強調する。
友田さんは住宅の劣化などを調査し、修繕時期や費用を助言する民間資格「ホームインスペクター(住宅診断士)」も持つ。友田さんは一戸建て住宅の修繕箇所として、屋根や外壁、バルコニー、台所、トイレ、給湯器、浴室などを挙げる。例えば、2025年に建てられた木造2階建て延べ床面積115平方メートルの標準的な一戸建て住宅(横浜市)で試算してみよう。修繕は築15年からが目安。雨漏りを防ぐために外壁や屋根の塗装工事やバルコニー床の防水工事を行う。台所のコンロやトイレの便座、給湯器の交換も必要で、計269万円かかる。
費用は毎月少額積み立て
●屋根と外壁は一緒に
「屋根と外壁の工事には足場代(約40万円)が必要。一緒に済ませた方がいい」と言う。シロアリの防除は5年ごとに行うのが望ましい。
築30年では、外壁の張り替えや屋根のふき替え工事などが必要となり計約445万円。台所や浴室など水回り設備の交換で計270万円、サッシ交換費150万円などもかかり計976万円にのぼる。築45年では、屋根や外壁の塗装工事などが再び必要で、計269万円ほどを用意したい。
家の間取りや内装を変える場合、400万~500万円かかる。改修や修繕費は業者によって差があり、友田さんは「複数社から見積もりを取り、比べてほしい」。修繕は住宅の資産価値を保つことにもつながる。
友田さんによると、築25年の木造2階建て住宅で、屋根や外壁の塗装など適切な修繕をしたことが住宅診断で裏付けられ、800万円の建物価値を有した事例もある。
修繕費用はどうためればいいか。友田さんは専用の口座を設け、1平方メートル当たり200~300円を目安に毎月積み立てることを提案する。「今後もインフレが懸念されるため、この試算額以上の修繕費がかかることも想定して」
修繕の時期や範囲に困ったときには、住宅診断を頼るのも手だ。雨漏りや建物の傾きなどの状況を調査し、アドバイスをもらえる。同社の場合、費用は6万6千円から。「住宅の不具合は知識や経験がないと判断できない。契約を交わす前に検討してほしい」と話す。
記事のポイント
“備えあれば憂いなし”の姿勢
家を長く持たせるため・安全・快適な暮らしを維持するためには、所有者側が漠然と「後で直せばいい」ではなく、将来を見通して準備しておくことが大切です。
30年で1000万円超の試算
台所・浴室など主要な内装設備、および屋根・外壁など外部構造、配管・防水・シロアリ対策などの項目を含めた総額が、30年間で1000万円を超す可能性があるという。この数字が、戸建てを所有するうえでの長期的なコストを考える際の目安となっています。
修繕周期と内容の明示
「このくらいの築年数でこういった修繕・交換が必要になる」という目安を示すことで、どのタイミングで何を準備すべきかを具体的に理解できるでしょう。
月々の積立の提案
急な負担を避けるため、小さな金額でも毎月積み立てることを推奨しています。具体的な積立額は明記されていないかもしれないが、少額積立の有効性が強調されています。
見落とされがちな項目の注意喚起
内装だけでなく、水回りや配管、構造体、害虫(シロアリ)など、普段目に見えにくい部分の劣化が進んでいるケースがあり、それを放置すると修繕費が跳ね上がる可能性があります。