2025/09/10 東京新聞朝刊地域の情報面「心肺蘇生投薬時間の短縮証明」横須賀消防局山崎さんが「現場初」の論文

横須袈市消防局の救急指導係長で指導救命士の山崎真悟さん(50)がまとめた心肺停止患者の蘇生に関する論文が、米国の医学誌に掲載された。市消防局は論文をマニュアル化し、救急活動の改善を進める。「1人でも多くの市民を救いたい」。現場の熱意が実を結んだ研究の中身はー。山崎さんが突き止めたのは、救急隊が心肺停止患者を病院搬送する際の有効な手順だ。隊員の手の代わりに胸を機械で押す「機械的胸骨圧迫装置」を早い段階で使うと、強心剤のアドレナリンをより早く投与できることを証明した。隊口が患者に接触してから1~5分に胸骨庄迫機械を使うと、6分以上たってから装着した場合と比べ、アドレナリン投与が約4分短縮できることが分かった。救急救命は時間との闘いだ。「アドレナリン投与が1分遅れると生存率が4%下がるとの先行研究がある」(山崎さ
ん)ほどだ。山崎さんは現褐で活動しながら、2022年に国士舘大大学院に入学。勤務明けや非番の日に研究室(東京都多摩市)に通い、横須質市内の174の症例の詳細分析を続けた。英文論文は今年8月に米医学オンラインジャーナル「cureus」に掲載された。市消防局によると、全国で毎年約13万人が心肺停止で搬送される。アドレナリン投与が有効とされるが、限られた人数で蘇生をしながら搬送するため、投与が遅れるとの課題があった。今後、三浦半島地域の消防や救急病院、医師会などでつくる協議会で成果を共有。来年度からは各救急隊員が新たなマニュアルで活動ができるよう、普及に努める方針だ。「救急の日」の9日に鈴木純也局長から表彰を受けた山崎さんは「職場の後押しがあったからこそ研究ができた。救命率の向上割合など、地道に研究を続けていきたい」と決意を語った。(篠ケ瀬祐司)

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