2025/09/08 神奈川新聞教育・NIE面 教室に行こう<446>「待ってくれる先生や仲間がいる 横須賀市立浦賀中学校」

対話で学びを深める

「これって何て読むの?」「ゲートルって何?」。授業で配られた1枚の資料。生徒たちは4人の班に分かれ、読み合いながら内容を確認していく。読めない、知らない、ということを恥ずかしがる様子はない。資料には、戦争の回顧録の―つが、話し言葉でつづられていた。自分たちと同じ「中学生」として戦争を
生き抜いた人だからこそ、その言葉には力があり、生徒たちを刺激する。「戦争によって、中学校生活がどのように変化しましたか」。先生からの問いに対し、
生徒たちは資料から読み取ったことを基に話し合いを進めていく。「外国語の勉強が禁止になったよね」「なんでそうなったのかな?」「日中戦争が関係あるんじゃない?」「中国語の禁止は分かるけど、なんで英語も禁止なんだろう?」「アメリカとイギリスとも対立関係になったんじゃなかった?」。グループの中、
気付きに問いが加わり、既に学んだ内容や出来事とつなげ合わせて自分たちなりの答えを導いていく。横須賀市立浦賀中学校では「学び合う力を高める」ために、どの教科、どの授業でも対話の時間が大切にされている。そして、安心して対話ができる環境が整っているからこそ、自然発生的に問いが生まれ、学びが深まっていく。「頭の中のことを自分の言葉として発するのは、最初はとても難しかったし、恥ずかしいと思つこともあった。けれど、どの教科でも、自分の考えを発信する機会があるから、考える習慣が付いてきている。そして、うまく話せなくても待ってくれる先生や仲間がいる。戦争を知らない世代だけど、今日の授業をきっかけに、家族や友達と話していきたい」。授業後のインタビューに爽やかに答える姿は、学校教育目標として掲げられている「人となるために」を体現していた。

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