横須賀市 観音埼(かんのんさき)灯台 愛され再建100年 資料展示室を改装 きょう無料公開
関東大震災の再建から100年を迎えた「観音埼灯台」(横須賀市)が、地域のシンボルとして親しまれ、資料展示室が改装された。3日の観音崎フェスタに合わせて無料公開される。
展示室には灯台の歴史を伝える新しいパネルが備え付けられ、フェスタに向けて灯台も白いペンキを塗られていた。
観音埼灯台は、日本初の洋式灯台として、1868年11月1日に起工された。その後、11月1日は「灯台記念日」とされている。
灯台は1922年の地震で損壊、翌23年の関東大震災で倒壊。25年に再建てられたのが現在の3代目の灯台だ。高さ19メートル。15秒に2回、35キロ先まで届く白い光を発する。海を照らし、操船者が自船の位置を確認する「海の道しるべ」としての役割を果たしている。
観音埼灯台は全国でも16基しかない一般公開を行う灯台の一つ。灯台に関する知識の普及を図る「燈光会」の渡辺裕吾・総務部長によると、2024年度は約3万6千人が訪れた。
渡辺さんは「らせん階段を上がると、東京湾や房総半島が一望できる。大きな船や小さな船が走る様子も間近で楽しめる」と魅力を語る。
灯台の参観寄付金は中学生以上300円。観音崎フェスタは、県立観音崎公園で11月3日午前9時半~午後3時半まで。
観光に一役 キャラクター化
全地球測位システム(GPS)やレーダーの普及などによって、灯台は減少傾向にある。第3管区海上保安本部によると、2003年度に全国で3348基あった灯台は、24年度には3103基に減った。
それでも、灯台は航海計器が故障した際に頼れる重要な存在だ。観音埼灯台は東京湾に入湾する目安になっている。
ある海上保安庁の職員は巡視船で勤務していたときに、「暗闇での航海に不安を感じていたが、沿岸の大きな灯台の明かりで安心感を得ていた」と振り返る。
灯台を観光にいかす取り組みも進んでいる。日本財団などによる「海と灯台プロジェクト」には、65基の灯台と60の自治体が「海と灯台のまち」として参加。「海と灯台ウィーク」(〜8日)にはイベントが開かれ、24年度は計7万人以上が訪れた。
20年には、民間による全国の灯台を擬人化する「燈の守り人」の企画も始まり、すでに60人のキャラクターが誕生した。中高生など、灯台に縁のなかった層にも関心が広がっているという。観音埼灯台でも8日まで、「灯台御守印」が配布される。(稲葉有紗)

横須賀市鴨居
2025年11月3日(月)朝日新聞朝刊地域面神奈川版
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