クマ 襲われたらうつ伏せ 「重症化免れる姿勢」秋田大大学院など負傷者70人調査で有効性 2025年10月27日(月)日刊スポーツ新聞社会面

過去最多9人犠牲

 クマによる人的被害が各地で多発している。環境省によると、2025年度の犠牲者は、24日時点で全国9人と過去最多で、その後も被害が続く。
 秋田県内で負傷した70人について調べたところ、受傷部位は顔面、手や腕が多く、うつぶせになり頭や首を手で覆う防御姿勢を取った7人は全員が重傷を免れていたことが分かった。

 調査した秋田大大学院の石垣佑樹医師は「クマの生態や有効な防御策を知ることが大切だ」と話した。
石垣医師らの研究班は23年度に秋田県内でクマに襲われて受診した人を対象に、県が保有する「クマ外傷人身事故情報」とカルテの情報を連携させ、受傷内容などを分析した。

受傷上半身に集中

 負傷した70人は平均年齢70、0歳。受傷部位は顔面55・7%と最も多く、次に手や腕54・3%、頭部44・3%と上半身に集中していた。クマは威嚇や攻撃をする際に「立ち姿勢」となることが多いため、顔面や頭部が狙われるという。

 環境省はクマに至近距離で遭遇した場合、体を丸めることや、うつぶせになり首や頭、腹部を守るよう呼びかけている。調査でも、こうした防御姿勢を取った7人は多くが手や腕を負傷したものの重症を免れた。

交通事故並み威力

 クマの攻撃は「交通事故に匹敵する威力」と言われている。調査によると、負傷者全体の入院は平均で12・8日、通院は平均で99・0日に上った。複数箇所を骨折するなど、重症者は23人。うち11人に顔面神経まひなどが残った。2人は社会復帰ができていなかったという。

 石垣医師は「クマによる顔面の傷は隠すこともできず、後遺症も残りやすい。生活への支障は大きい」と強調。研究結果からも、「うつぶせの防御姿勢は重症化防止に有効であることが示された」と話した。

富山で女性被害 頭と腕軽いけが

 26日午前10時15分ごろ、富山県南砺市で女性(75)がクマにかまれたと夫から110番があった。消防によると、女性は頭と腕に軽いけがをした。県によると、女性は自宅そばの庭で柿を収穫中に襲われた。クマは逃げ、地元猟友会や警察が捜索に当たっている。

 現場は山に近く、民家が点在している。24日にも、同県氷見市の70代女性が自宅で庭木の剪定(せんてい)中に襲われ、顔面に重傷を負った。

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