大人も防犯ブザーを「女性狙う犯罪 後絶たず」音量、取り外しやすさ大事

 8月に神戸市で、9月には東京町田市で、いずれも女性が面識のない男に襲われ、殺害される事件が相次ぐなど、女性を狙う犯罪が後を絶たない。とっさに大声を出して助けを求められない時、大きな音を出して周囲に知らせることができるのが防犯ブザーだ。専門家は「使い方を身に付ければ、高い防犯効果を期待できる」と、子どもだけでなく大人も携帯することを勧める。(中根貴依)

 「子どものものという認識を改めてほしい。女性はもちろん男性も、年齢問わず持った方がいい」。警察庁の防犯事業への助言を行う市民防犯インストラクターの武田信彦さん(48)東京都=はそう強調する。防犯ブザーは、本体に差し込まれたピンを引き抜くなどすると警報音が鳴る防犯グッズ。小学校の新1年生に配る自治体もあり、ランドセルに付ける印象が強いが、大人の防犯にも役立つ。犯罪者にとって狙いやすいのは、最寄り駅から自宅までの道などで1人になる瞬間。ブザーの警報音は「自分ともう一人分の声」となり、「1人の状況
を打ち破ることができる」。

 名古屋市中村区のハンズ名古屋店の防犯ブザー売り場には、さまざまな形や機能の製品が並ぶ。ピンクや黒など、色も豊富で迷ってしまうが、何を基準に選べばいいのか。武田さんによると、最も重要なのは周囲にSOSを確実に届けるための音
量。全国防犯協会連合会(東京)が推奨する「優良防犯ブザー」は、85デシベル以上が基準となっている。同連合会は、音量や鳴動時
間、落下強度などの性能試験をクリアした約80商品をホームページで公表。推奨品には「優良防犯ブザー」の表記やシールがあり、売り場で選ぶ際の参考にしたい。子どもが持つことを想定した基準だが、大人の目安にもなるという。加えて、取り外しやすさの確認も。バッグの持ち手に付けると手が届きやすいが、バッグごとひったくられたり転んで手放したりしたら鳴らせない。「取り外して手に持って歩くとさらに安心感がある」と武田さん。ベルトに付けるクリップタイプもおすすめだ。

使う場面想定 練習も

 購入したら、使う場面を想定して練習を。実際に犯罪に遭遇したら、恐怖で声が出ない可能性もある。「ブザーを鳴らして投げ付けると、相手の意識を分散できる。音に気を取られている隙に逃げて。何となくつけられている気がしたり、不審な行動をとる人がいたりして、不安を感じたら、ピンを一瞬だけ外して『ちょい鳴らし』をすると、警戒心をアピールできる。でも防犯を手伝ってくれる道具。できるだけ1人の時間をつくらない、周囲を警戒しながら歩くなど、自分の行動も大切」と話す。

2025年10月16日(木)東京新聞朝刊暮らし面生活

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です