観測船「しらせ」艦長ら講演 南極公開や活動紹介 横須賀 2025/09/18(木)神奈川新聞地域面
三方を海に囲まれた横須賀で海との関わりを考える「よこすか海洋シンポジウム」が15日、横須賀市稲岡町の記念艦「三笠」で開かれた。27回目の今回は、南極とのつながりをテーマに、海上自衛隊横須賀基地(同市)が母港の南極観測船「しらせ」の艦長や元越冬隊員らが活動の一端を紹介した。
8月にしらせ艦長に就任した岩瀬剛1佐は南極への航海について講演。厚さ約1.5メートル以上の海氷海域では、船を後退させ勢いをつけて前進し海氷に体当たりする「ラミング」を繰り返して進むという。「10センチの丸太を時速30キロの車で乗り越えるイメージだが、船の構造で衝撃や揺れは少ない」と解説した。しらせは帰港後も修理や検査で横須賀を“不在”にすることが多く、停泊している間は「合計1カ月ぐらい」とも明かした。
第64次南極地域観測隊として参加した海洋研究開発機構(JAMSTEC)の白野亜実さんは、昭和基地に1年滞在した経験を語った。「70年の歴史を持つ観測を少人数で続けられるか不安だった」と述懐。食事や休日のレクリエーションを通じて仲間との絆を強め、活動を続けたという。オーロラやペンギンなどの写真を紹介し「南極が面白そうな場所だなと思った。しらせひ隊員に」と呼びかけた。
東京都内から参加した水島大賀さん(8)は「夢はしらせの艦長。ラミングなどの知識が深まって良かった。新しい観測船の設計もしたい」と目を輝かせていた。イベントはよこすか市民会議の主催。市民ら約230人が参加した。(最上 翔)