2025/09/06 東京新聞朝刊特報面「子育て世代も要注意『帯状疱疹』」どうして?どう対処?

高齢者がかかりやすいイメージが強い帯状疱疹(ほうしん)。実は近年、子育て世代での発症が増えている。背景には、子ともの水痘(水ぼうそう)ワクチンの定期接種化があるとも。一体、とういうことか。2児の父で、帯状疱疹に悩まされたばかりの記者(33) が探った。(松島京太)
腰痛…? けれとも、おなかと胸辺りも痛い。熱もないのになぜー。8月下旬。記者の体を謎の痛みが襲った。鎮痛薬を飲むなどしても収まらない。最初は軽かったが、次第に痛みは強くなり、範囲も広がった。数日後、腹と背中には赤い発疹が。すぐさま会社の近くの皮膚科を受診すると、帯状疱疹と診断された。
若いのにまさか自分が。想定外の診断に驚いた。参院選取材や引っ越し、異動でバタバタと忙しく、それがたたったのか。
それから何日かは、とにかく痛みと闘った。神経痛と打撲、やけとが同時にやってくるようだった。鏡で自分の姿を見ると、水膨れやただれで真っ赤になっていた。「最近、若い方で帯状疱疹の人が明らかに増えている」記者が受診した志保日比谷皮膚科クリニック(東京都千代田区)を5日に取材で訪れると、千田(ちだ)志保院長はそう語った。「仕事が忙しくて残業続きなどで、ストレスを抱えている人が多い。昔かかった水ぼうそうのウイルスは体に潜んでおり、免疫力の低下で再活性化するのが帯状疱疹だ」と説明する。高齢者以外の患者増加はデータにも表れている。
宮崎県皮膚科医会が実施し、県内42施設を受診した患者を調べた疫学調査「宮崎スタディ」によると、全世代での帯状疱疹発症率は1997年と比べ、2019年は約1・8倍に増えており、その中でも20~40代の増加率が最も高い。
20年以降、コロナ禍による受診控えでデータ上は発症数が減少したが、調査に携わった外山(とやま)皮膚科(日南市)の外山望院長は「現在も増加傾向は続いているとみられる」と述べ「(14年に始まった)水痘ワクチンの定期接種化が関係している」とみる。
外山院長によると、水ぼうそうを発症した子ともは、周囲にウイルスを飛散させる。そのウイルスを取り込んだ親などの大人は、帯状疱疹に対する抵抗力が一時的に上がる「ブースター効果」を得る。しかし、子どもが発症しないと、その効果が得られず、親世代の帯状疱疹の発症リスクが高まるとされる。

「子育て世代も要注意『帯状疱疹』」と題し、帯状疱疹の発症が従来よりも若年層、特に子育て中の世代で増加している現状を取り上げています。2児の父である記者が、自身も帯状疱疹を発症して強い痛みに苦しんだ体験を軸に執筆。過労や慢性的なストレス、睡眠不足など、子育て世代に特有の負荷が、免疫力の低下を通して帯状疱疹リスクの増加を招いているという専門家の見解が紹介されています。

さらに、発疹と並ぶ「痛みの強さ」や、「帯状疱疹後神経痛(PHN)」など後遺症の深刻さ、「顔や目に症状が出た場合の神経麻痺・視力障害のリスク」などの注意点も記載されていると思われます。また、対策として、早期受診の重要性や、適切な休養・栄養の確保、ワクチン接種の検討(ただし、現時点で定期接種対象外の世代では任意接種となる点)などが呼びかけられている可能性があります。
帯状疱疹のワクチンはあるが、費用助成の対象は主に高齢者だ。国は本年度から65歳以上を定期接種の対象とした。一部自治体での任意接種の費用助成は50歳以上のケースが目立ち、若年層で助成がないと1万~4万円程度の費用を全額負担することになる。
50歳未満にもワクチン接種の助成を実施すべきか。
大阪公立大の大藤さとこ准教授(公衆衛生学)は「確かに20~40代の増加は大きいが、高齢者の発症率に比べればまだ低い。一律で助成するというまでではない」と話す。
一方で「若くても基礎疾患があるなと、条件をつけて助成するという選択肢もある。増加領向が今後も続くのかについても注視し、場合によっては若年層の一律助成も視野に入れるべきだ」と語る。

\ 最新情報をチェック /

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です